OSとは
OS(Operating System)は、パソコンやサーバーのCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークといった機器を管理し、その上で業務アプリケーションを稼働させる基本のソフトウェアです。OSは、メモリ、CPU、入出力装置、ファイルの保管場所などの資源を割り当てて、ハードウェアとアプリケーションを管理するソフトウェアの集合と説明されます。
業務の現場で目にするOSは、パソコンのWindowsやmacOS、サーバーのWindows ServerやLinux、スマートフォンのiOSやAndroidです。例えば販売管理システムは、サーバーのLinuxの上で稼働し、担当者はWindowsのパソコンのブラウザから利用します。アプリケーションは機器を直接操作せず、ファイルの保存や通信をOSに依頼して処理します。オフィスビルに置き換えると、OSは電気、空調、エレベーターを管理するビルの設備で、業務アプリケーションはその中に入居するテナントです。
OSとアプリケーションは役割で区別します。OSは機器の資源を管理し、ファイルの保存、画面の表示、通信といった、複数のアプリケーションが共通して使う機能を提供します。アプリケーションは、受注管理や会計のような個別の業務の機能を担います。ハードウェアは物理的な機器そのもので、OSはその機器を動かすソフトウェアです。

OSが業務の判断に関わる時期
普段の業務でOSを意識することは多くありません。OSの判断が必要になるのは、主に次の時期です。
- サポートの終了: 提供元が更新の提供を終えると、新たに見つかった脆弱性が修正されなくなる
- 業務アプリケーションの対応: 業務アプリケーションは、提供元が動作を確認したOSのバージョンでしか保証されないことが多い
- 機器の入れ替え: 新しいOSが古い機器に対応しておらず、OSの更新と機器の買い替えが同時に必要になることがある。例えばWindows 11は、TPM 2.0というセキュリティ用のチップを要件にしている
OSのサポート終了が近づくと、業務アプリケーションの対応状況を確認し、場合によっては機器も入れ替えることになります。OSより先に、その上で使うデータベースやプログラミング言語の実行環境の期限が来て、更新を迫られることもあります。
サポート期限が更新計画を決める
OSには、提供元が更新プログラムを提供する期間が決まっています。期限を過ぎたOSを使い続けると、新たな脆弱性が見つかっても修正されず、情報漏えいやサービス停止の被害を受ける可能性が高くなります。
主なOSの期限の例は次のとおりです。2026年11月時点の情報で、詳細は各社の公開情報を確認します。
| OS | 期限の例 | 出典 |
|---|---|---|
| Windows 10 | 2025年10月14日にサポート終了。法人向けには有料の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)がある | Microsoft |
| Windows 11 | 年1回の機能更新ごとに、エディションによりリリースから24か月または36か月 | Microsoft |
| Windows Server 2016 | 延長サポートの終了は2027年1月 | Microsoft |
| Red Hat Enterprise Linux 8、9、10 | メジャーリリースごとに10年間のライフサイクル | Red Hat |
| Ubuntu LTS | 標準のセキュリティ保守は5年間 | Canonical |
表のとおり、サーバーのOSは製品によって5年から10年程度で期限が来ます。業務システムを10年以上使う場合、稼働中に少なくとも1回はOSの更新が必要になると見込みます。
Windows 11のパソコンでは、OS製品の期限とは別に、年1回リリースされる機能更新を適用し続ける運用が必要です。
無償のOSにも期限があります。Red Hat Enterprise Linuxと互換のLinuxとして広く使われていたCentOS Linux 7は、2024年6月30日にサポートを終了しました。利用していた組織は、別の互換OSへの乗り換えや、有償のOSへの移行を迫られました。
OSのサポート終了に伴って、その上で稼働するソフトウェア製品のサポートも終了するおそれがあります。OSだけでなく、業務アプリケーションの対応期限もあわせて確認します。

移行するか延命するかの判断
サポート終了が近いOSでは、後継のOSへ移行するのが基本です。判断は次の条件で分けます。
- 後継のOSへ移行する: 業務アプリケーションが後継のOSに対応している、または対応版が提供されている。社外と通信する機器は、原則としてこの選択をとる
- 互換のOSへ乗り換える: Linuxで、同じ系統の別のOSに業務アプリケーションがそのまま対応する。CentOSからの乗り換えでとられた選択肢
- 期間を限って延命する: 業務アプリケーションの改修が期限に間に合わない。有料の延長サポートを、移行の完了までの期間に限って利用する
- 隔離して使い続ける: 製造ラインの制御用パソコンのように、機器と一体で更新できず、ネットワークから切り離しても業務が成り立つ。USBメモリなどの持ち込みも制限する
- 業務アプリケーションを改修するか置き換えて移行する: いずれの条件にも当てはまらない
延命の費用は比較できるように見積もります。Windows 10の法人向けESUは、1台あたり年61米ドルで、最大3年間、毎年価格が2倍になります。3年延命すると1台あたりの費用は427米ドルになり、100台では4万米ドルを超えます。同じ費用で後継OSに対応した機器へ入れ替えられるかを比べます。ESUはAzureの仮想マシンなど、一部のクラウド環境では追加料金なしで提供されます。
移行の作業は、業務アプリケーションの動作確認、データの移行、利用者の端末の設定変更を含みます。社内のパソコンが数十台なら数か月、業務アプリケーションの改修を伴うサーバーの移行なら半年から1年以上かかることがあります。これは経験に基づく目安で、システムの構成によって大きく変わります。サーバーは期限の2年前、パソコンは1年前に、業務アプリケーションの対応状況の確認を始めます。

クラウドで変わる範囲と残る範囲
クラウドの仮想サーバーを使う場合も、OSの更新は利用者の作業として残ります。仮想サーバーのOSのパッチ適用は、AWSでは利用者の責任です。
利用者に残る範囲は、クラウドの提供形態で変わります。仮想サーバーを借りるIaaSでは、OSの更新は利用者の作業です。アプリケーションの実行環境を借りるPaaSや、データベースのマネージドサービスでは、多くの場合OSの更新は事業者が担います。担当の範囲はサービスごとの責任分担の資料で確認します。例えばデータベースのマネージドサービスのAmazon RDSでは、ソフトウェアの更新をサービス側が管理します。完成したソフトウェアを利用するSaaSでは、サーバーのOSを意識する必要はありません。利用者のパソコンのOSの更新は、どの形態でも利用者に残ります。
OSの更新を担当できる人がいない組織では、PaaSやマネージドサービスを選ぶと運用の負担を減らせます。ただし、事業者側のOSやミドルウェアの更新に合わせて、業務アプリケーションの対応を求められることがあります。
よくある誤解
OSのサポートが切れてもすぐには困らない
実際は、サポートが切れた時点から、新たに見つかった脆弱性が修正されなくなります。Windowsの脆弱性は、公開後に悪用される例が継続して確認されています。米国のCISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)が公開するKEV(Known Exploited Vulnerabilities)カタログは、悪用が確認された脆弱性の一覧です。2025年9月末時点で、2024年以降に公開されたWindowsの脆弱性のうち41件が登録され、ランサムウェアへの感染に悪用された脆弱性も含まれます。サポートが終了したOSでは、同様の脆弱性が見つかっても修正されません。
OSを更新すれば業務アプリケーションもそのまま動く
実際は、業務アプリケーションは、提供元が動作を確認したOSのバージョンでしか保証されないことが多いです。更新の前に提供元の対応表を確認し、検証用の環境で業務の流れを試します。
使っているOSと期限の一覧を作るのが、更新計画の出発点です。パソコンは資産管理ツールや設定画面で、サーバーはシステムごとの構成資料で確認し、期限の近い順に対応を決めます。
同じ分野の用語
クラウド・インフラの用語をすべて見るお問合せ
事業の課題や技術的な悩みなどどんなことでもお聞かせください










